「ねぇカイ、私の事好き?」
「馬鹿な事を言うな」
彼は気まぐれ、優しいのは小動物限定、執着するのはベイブレードのみときた。
タカオの家で合宿と称した集まり、外ではタカオ達が耐えずバトルを行い、私とカイはベイのカスタマイズを道場内で行なっていた。
部品がぶつかる音だけが道場内に木霊する中で聞いたのがさっきの発言だ。こちらを一瞥すらせずにカイは答えた。
「あ、そっすか…」
分かってはいた返答なので大したアクションも起こさずに冷ややかな目で彼を見た。再びベイに向き直れば、タカオ達の声をBGMに部品音。
「あ、カイそこの部品取って。届かない」
寝転がってカスタマイズに励んでいたので、手の届く領域はごくわずか。カイの隣、つまりは私の範囲外の部品を手に取りたいという意思を彼に伝える為に、届かない部品に向かって手を虚空に漂わせる。
「自分で取りに来い」
「…ですよねー」
バッサリ一刀両断されたので渋々立ち上がり彼の真横にある部品を取る。
「おい」
「ん?」
しゃがんで部品を手にとった瞬間、呼ばれたので顔を上げれば額に触れる様なキス。
しばらく胡散臭い物を見るような目付きで彼を見る。しかしながら彼はスルーのプロフェッショナルだ。ため息を一つ、そしてにやついた笑みで相変わらずベイしか見てない彼を見る。
「カイ、私の事好き?」
「…さぁな」