「なんで避けてんだてめぇ」
「避けてない!避けてないし!自意識過剰なんじゃないの!?」
「ハァ!?」
キョウヤといるのは大の苦手。食べ物で苦手のキムチよりも苦手だ。彼といる時だけ体力低下ですぐに息切れするし動悸するし、精神的にテンパって口が意味もなく悪い方向にくるくる回るし、正直自分でも意味が分からなかった。
私の発言に気を悪くしたキョウヤの、機嫌の悪い聞き返し声がやけに胸に痛かったが、テンパっている私はそんなことお構いなしに舌がくるくるくるくる。
「さ、避けられてるから私がキョウヤに気があるとか思っちゃってんの?うっわ恥ずかし!」
「あのなぁ……」
「何図星!?図星だから言い訳!?悪いけど後から付け加えたようにいわれでも私納得なんてもちろんしないから!」
「…………」
「なに黙っちゃって?やっぱり図星なんだ!や、やだもー!」
「どっちにしたってそっちの方向に持ってくんじゃねぇか面倒くせぇな!!」
私の饒舌加減にブチ切れたキョウヤが私の胸ぐらを掴んだ。言い過ぎた、いくら自重が聞かないからって言い過ぎたかもしれない嫌われたかもしれない!
私が内心慌てて勝手に半泣きになりそうな時、キョウヤが掴んだ胸ぐらの服を引っ張った。
「――!?」
彼の顔がドアップになった。まつげとまつげが触れ合いそうになって、あれなんて言うんだっけこれ。あ、バタフライキスだ!なんてまつげに現実逃避していだが、すぐに現実に驚愕する。引っ張られた私はキスをしていた。あのキョウヤにファーストキスを奪われたのだ。なんだこの気持ちは。胸がいたく苦しくて、でも顔はにやけそうなこの気持ちは。
「面倒くせぇからハッキリ言ってやる。てめぇ俺が好きだろ。俺はてめぇが好きだ」
「すっ……!?」
私の饒舌に遮られないように、キョウヤにしては珍しく長文を口にしたが、脳みそが回らない私にはその文章はえらく難解で、数秒黙った後に私はキョウヤからまた逃げ出した。逃げるときに口からでた叫びは、私なりの返事なんだが、こんな面倒な私が好きらしいキョウヤならきっと分かるだろう。