「ぶっ!」
また地面とキスしてしまった。不覚にも口に砂利が入り、私はぺっぺっ、と吐き出そうとするが小石さんは結構しつこい。
「あーもー何やってんだよ!」
隣を歩いていた正宗が、世話ねーなと文句を言いながも私に手を差し伸べる。私は何も言わずにその手を取って、遊びに来ている公園の地面を蹴った。
「なんでさっきっから転んでばっかなんだよ」
「なんでって……」
慣れない完徹のせいだ。日差しは眩しいし、気温は朝は寒い昼は暑いの不安定。寝不足で立ち眩みさんと仲良くなるのは時間の問題だろう。なのに私と一緒にゲーム完徹した正宗が元気な方がおかしいだろう。
「ほら、水道ついたぞ」
「んー」
曖昧な返事で、公園に備えついている水道の蛇口を上にして捻る。それで口の中の小石さんとさよならばいばい。
「大丈夫かー?」
「うん」
「んじゃ銀河たちんとこ戻るぞ、置いてかれたしよ!」
一緒にきていた銀河たちは、先に一番広い芝生がある場所に遊びに言ったらしい。先に遊んでてずりーずりーと繰り返し呟きながら先を歩く正宗の後をついて行こうと歩き出す。
「あっ」
「……!のわっ、危ねっ!」
日差しさんとだるさのせいで脚が上がらず、引きずった足で一歩踏みだそうとしてまたしてもつんのめった。
数歩先を歩いていたはずの正宗が私の声に振り返ってまるで予測していたように両手で、地面さんとキスしそうだった私を受け止める。彼の腕の中は思ったよりふんわりしていてほっとする。だけど受け止める腕はしっかりしてて、酷く動悸が乱れた。
「……ホントお約束に予想を裏切らねーな、お前」
「……すいません」
神妙に反省すると、私をおこした正宗は「ん、」と右手を差し伸べてきた。一瞬だけ訳が分からず私は停止するが、すぐに意味を理解して左手を重ねる。
「よっしゃ、行くぞ!」
「おー」
まだテンションの低い私の手を彼は強く握って引っ張り走り出す。がくんと体が引かれたが、転ぶ心配はもうない私は繋いだ左手を全部任せることにした。